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新潟の果物は美味しいことを全国の人に知ってほしい

年間で8万玉の梨を生産する梨農家の3代目、山田烈矢さん。果樹園を継いで3年目の今年、同じく梨農家を営む、農業大学校時代の同級生とタッグを組んで、洋梨のブランド化にも挑戦。受け継いだ技と知恵と大地に、アイディアと行動力をプラス。その農業にかける思いとは?

梨農家 山田 烈矢(やまだ れつや)さん(写真右)
Profile / 1994年、新潟市生まれ。新潟県農業大学校で農業の基本を学び、2011年に祖父母の果樹園を継承。家族に支えられながら1.4haの畑で、「果実の甘さを追及しながら」和梨、洋梨、ぶどうを生産。

 新潟平野のほぼ真ん中。信濃川と中ノ口川の間に広がる田園地帯、新潟市南区は米はもちろん果物王国としても有名。その一画で山田烈矢さんは和梨・洋梨・ぶどうを育てている。梨の枝を水平に這わせる棚は低く、山田さんは中腰で作業する。「棚の高さは一番仕事ができる人の身長に合わせるんです。それがウチでは、ばあちゃん。作業ではまだかないません」。果樹栽培農家に生まれた山田さん、大学進学のタイミングで祖父母から「誰も継がないのなら農業を止めようと思う」と聞き、農家を継ぐと宣言して農業大学校に進学。「子どものころから手伝っていたのでできるだろうという安易な気持ちでしたが、実際に自分で現場に立ったら、想像を上回る大変さでした」と笑う。その季節や時間内で行わなければならない作業があり、土地や気象で細かく調整もしなければならない。知識として知っていてもなかなかできない、教科書通りにしても効果が出ないことが続出。さらに、地面に施した有機肥料は、雨でじわじわ浸透して根に届くので、結果が出るまで年単位のスパンが必要。祖父母について学び、3年目に「ようやく自分の名前で出して恥ずかしくないものができました」。

 そして今年、山田さんは新しい一歩を踏み出そうとしている。大学校の同級生、堀川諭(ほりかわさとし)さんとふたりで、自分たちが育てた洋梨をブランド化して独自の販売ルートを作るという計画だ。「学生時代、農業についてこうしたい、ああしたいと考えたり、話し合ったりした楽しい雰囲気をお客さんにも伝えたい。それがベースです」とふたり。まずは新潟や東京でのイベントで販売し、将来的には店舗やネットでの販売も。「新潟の名物は米だけじゃない、果物もおいしい。中でも梨は格別だと全国へ伝えたいんです」。西洋なしは消費者が追熟するのが一般的であるが、「新潟のル・レクチェは農家が熟成させて食べごろの1週間前に出荷。生産者の思いやり、感じません? こういうことも知ってほしいです」。

 これからは後輩を育てる役割も担いたいという山田さん。農業に憧れる人たちには、時間をかけて夢をかなえて、と伝えているという。「農業には、知識や勉強に加えて、土地や農機具も必要ですし、天候や自然災害のリスクもあります。だから、まず農業法人などで腰を据えて経験を積み、十分に準備をしてから独り立ちしてほしい」。独立して3年、将来を語る山田さんの口調には頼もしさが漂っていた。


■山田さんの働く「スイート果樹園」

新潟市南区に合計1.4ha の果樹園で、祖父母や家族とともに、梨やぶどうを栽培。有機肥料で安心安全&甘さを追及。

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