Pick up voice

料理で世界から人を呼んで、新潟を盛り上げたい

2016年9月、新潟市中央区古町に一軒のレストランがオープンした。野菜も肉も魚も、食用の花も、新潟県産食材を豊富に使う、新潟の食文化とイタリ ア料理がひとつになったイタリアンレストラン。そのオーナーシェフ・田村崇さんに、故郷新潟を独立の場所に選んだ理由を伺った。

オーナーシェフ 田村 崇さん

Profile / 1982年生まれ 新潟市出身。高校卒業後、東京の大学に進学し経営学を専攻。飲食業に進み、神楽坂のイタリアンレストランなどで経験を積んだ後、Uターン。新潟市中央区に「フィオリータ」をオープン。

 東京では、学生時代のアルバイトを含めると、約10年間レストランで働いた。その間で、田村さんが料理を一生の仕事にしようという決意したのは、神楽坂にある老舗イタリアンで働いていた時だったという。そのシェフの料理に魅了され、志願して就職。4年間かけてイタリア料理を学んだ。前菜からデザートまで全てを経験し、やがて、自分の料理が評価されるように。「独立を考えた時、東京では何を目指していいのかが定まらなくて」と、29歳でUターン。「いつかは帰ろうと思っていたので、自分の中では自然な流れでした」と、田村さん。

 新潟では、レストランのマネージャーを2年、シェフを3年経験。経営について学び、生産者や同業の仲間、またお客さんとのつながりを深め、34歳で自分の店をオープンさせた。「農家の方と出会って、実際に畑に行って野菜の生長を見るようになって、素材の力や流通の仕組みが分かったのが、独立を後押ししてくれました」。だから、田村さんのモットーのひとつは、野菜を大切に使うこと。野菜のおいしさがそのまま伝わるように作るサラダは、自慢の一皿だという。

 また、田村さんが所属する、県内飲食店のオーナーシェフの集まり『IL Laboratorio DiCucine Niigata 』のサポートも、「温かくて、ありがたかった」と、田村さん。「新潟に戻ってきて感じるのは、こういう人と人との距離の近さ。関係性がつながって、広がっていくと、前向きになれますよね」。

 今、田村さんは、2つのチャレンジを始めている。ひとつは、イタリア料理にとらわれすぎず、新潟らしさや和の要素を料理に取り入れること。野菜や魚、肉など素材は新潟産を使うことに加えて、昆布や鰹節なども用いて、「新潟だからこそできる、懐かしくてあたたかいイタリア料理を目指しています」。もうひとつは、自分の店だけでなく、広く飲食業界が協力し合えるような枠組みを作っていくこと。「自分自身が東京の修業時代、仕事と生活の両立が大変だったので、若い人たちに働くことの楽しさを伝えたくて」と、田村さん。全体で若い人材を育てていく仕組み、ジャンルを超えて情報や技を伝え合う方法など、「まだ形にはなっていませんが、ぜひ確立したい」。県外からも、また海外からも人を呼べる料理を。田村さんの視線はしっかりと将来に向かっている。

■田村さんの働く「フィオリータ」

妻有ポークを始め、季節の野菜や果物など、新潟産の旬の食材を使う、新潟×イタリア料理レストラン。味も食感も香りも盛り付けも器も、五感で楽しめる料理を提供している。

▲ページTOPへ